九州自然歩道は、福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・宮崎・大分の九州7県をぐるりと結ぶ壮大なロングトレイル。
手軽なハイキングコースから本格的な山岳地帯まで、変化に富んだコースが魅力です。

九州ならではの文化や歴史、自然、そして人々。歩くことでしか出会えない感動のドラマがあなたを待っています。

延岡市街から車でおよそ30分でアクセスできる行縢山。
雄岳と雌岳の二つの岩峰からなり、そそり立つ岩壁が何者も寄せ付けない雰囲気を醸し出している。
一見すると「あの山を登れるの!?」と思うのだが、小学生の子どもたちでも登頂できるほど登りやすい山なのだそうだ。

 まずは行縢神社を参拝して山行の無事をお願いし、この日の天気同様すがすがしい気持ちで登山道へ入る。樹齢300年を超えるという杉の大木や高さが3m以上あろうかという巨大な岩に目をやりながら進む。

 行縢山は花崗斑岩でできた岩山で、コース前半はほとんどが“岩の天然階段”。しかも峠まで一気に登るので、これが結構きつい。トレーニングに訪れる人も多いというのもうなずける。

コース前半には、とてつもない大きさの岩がごろごろ。自然の力を感じます

 3合目を過ぎて立派な橋を渡る。この橋は「滝見橋」といい、ここからは雄岳と雌岳の間を流れ落ちる「行縢の滝」がよく見える。4合目を越え、滝と山頂の分岐へ。帰りのお楽しみにとっておいても良いのだが、この日は先に滝を見に行くことに。

 分岐から5分で滝に到着。行縢の滝は落差76.6mで「日本の滝百選」に選ばれている名瀑だ。この日は水量が少ないこともあり、垂直に切り立つ岩肌を流れ落ちる姿を真下から見上げることができた。

   分岐まで引き返して頂上を目指す。岩だらけの道を登り続けて6合目へ。ここは雌岳の切り立った岩肌が正面にそびえる絶好のヤッホーポイント。お腹の底から「ヤホッ!」。「ヤッホー」ではなく短く言うのがコツなのだそうだ。雄岳と雌岳の間を何度も何度も自分の声がこだまする。

山頂で頬張るおにぎりは、ひと味もふた味もおいしい!

行縢川の上流沿いを県民の森へ向かって歩く。行縢山は実に表情豊かだ

表情豊かな道を行く

 6合目を少し行くと峠に出る。ここからは道もなだらかになり、岩も少なくなってきて歩きやすい。行縢の滝の上流となる沢を渡ると、これまでの岩だらけでゴツゴツとした雰囲気とは一変して、穏やかな照葉樹林が広がる。まるで違う山に来たかのようだ。
気分もリフレッシュして木漏れ日を浴びながら順調に進む。

 山頂が近づくにつれて、傾斜がきつくなってくる。が、こうでないと山登りは楽しくない。
「これこそが山の醍醐味」と自分に言い聞かせて最後の急登を登り切る。
「麓から見上げたあの絶壁の一番高いところに立っている」、そう思うと喜びもひとしおだ。  帰りは、渓流のすぐそばを歩ける「県民の森コース」に立ち寄り、渓流沿いの広場でしばらく休憩して下山。行縢山の魅力を思う存分味わった1日だった。

宮崎県自然環境課 TEL.0985-44-2624 延岡市都市計画課 TEL.0982-22-7022 むかばき青少年自然の家 TEL.0982-38-0272

九州自然歩道 延岡市・行縢山 絶壁の頂きを目指して

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