九州自然歩道は、福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・宮崎・大分の九州7県をぐるりと結ぶ壮大なロングトレイル。
手軽なハイキングコースから本格的な山岳地帯まで、変化に富んだコースが魅力です。

九州ならではの文化や歴史、自然、そして人々。歩くことでしか出会えない感動のドラマがあなたを待っています。

尾鈴コースの見どころはなんと言ってもコース沿いに点在する滝の数々。
尾鈴山瀑布群と呼ばれるこの一帯には大小30以上の滝が存在しているのだ。

 キャンプ場の駐車場に車を止めて、まず目指すのは日本の滝百選の一つ「矢研の滝」。
キャンプ場を横切り、落葉が敷き詰められた道を行く。
苔むした岩が印象的な遊歩道に沿って流れる渓流にはさっそく滝が姿を現し、名瀑と言われる矢研の滝への期待感が高まる。

 歩き始めて約20分、木々のベールの向こうに矢研の滝の姿が見えた。
展望所から少し距離があるものの73mの高さから一気に落下するその様は実に猛々しい。
その昔、神武天皇がこの滝の流れで矢を研いだことが名前の由来だそうで、なるほどそれもうなずけるほどの勢いだ。

滝壺のそばまで近づける「紅葉の滝」。冷たい風が吹いてきます

瀑布群一の落差を誇る白滝へ

 キャンプ場まで引き返し、瀑布群の中で一番落差がある「白滝」へ向かう。
遠くに聞こえる川の流れを聞きながら、なだらかな上り坂になっている遊歩道を歩く。
この道は、昭和33年に撤去されるまで木材の運搬に使われていたトロッコ軌道を利用したもので、道沿いには苔に覆われた炭焼き釜や詰め所など当時の痕跡が残されている。

 濃密な森の息吹を感じながら歩くこと50分。「紅葉の滝」のお目見えだ。
高さ34mのこの滝は瀑布群の中でも特にその姿が美しいとされる。他のコースであれば十分にハイライトになるほどのポイントなのだが、尾鈴コースにおいてはほんの序章にすぎない。遊歩道の遥か対岸、山肌を流れ落ちる雄大な「すだれの滝」、岩肌をなでるように流れる「やすらぎの滝」など個性あふれる滝々は、それぞれに趣があって見飽きることがない。

 クライマックスの「白滝」まで残り100mというところから道が急な登りに。それまでの散策モードが一転、山登りモードだ。額に汗して10分ほど登り続けて白滝に到着。水量こそそれほど多くはないが、はるか頭上から流れ落ちる姿は神々しいと言っても過言ではなく、2時間近く歩き続けてきた疲れが吹き飛ぶほどの存在感だ。時が経つのを忘れて、しばし滝を見上げる。

 数々の滝を巡った今回の行程。新鮮な空気の中、たっぷりとマイナスイオンを浴びてすっきりとリフレッシュできました。

コースにはトロッコ軌道のトンネルなど、かつての人の営みの跡が残されています。

宮崎県自然環境課 TEL.0985-44-2624 都農町産業振興課 TEL.0983-25-5721

九州自然歩道 尾鈴山瀑布群トレッキング

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